バード・ウォッチングNo13 振る舞いを読み解く

H29.8.4

理事 村瀬

新卒者2名を受け入れて4か月、母校・特別支援学校の担当教諭がアフターケア―で来所された。いい再会であった。学校での過ごしぶりを彷彿とさせるやり取り、また青い鳥での馴染め具合を感じさせる振る舞いと受け止めた。

 

  • 「お久しぶり!」に満面の笑顔

 甘え上手なAさん、先生に出会ってパッと笑顔満開になった。うれしい出会い、素直な笑顔である。きっとこの笑顔に出会った先生も本当にうれしかったに違いない。先生たちに「いい3年間だったのだ」と自信を改めて持たせてくれる、そんな力を与える笑顔である。普段は受動的な面が多い方だが、すごい影響力を持つ素敵な笑顔のAさん、存在感の大きさを新発見した。

 いつものあいさつも「お…」と最初の一音を投げかけることで「おはよう」が出て来る。先生の名前もそうであった。しっかり覚えていて言葉で応えてくれた。他愛もないやり取りだが率直に気持ちのつながりを感じさせる。コトバにつながることで、覚えていると確信し、素朴に共に元気になっていく。不思議な関係なのだ。

 

  • 先生に話すことは?「ありません!」

 自分を押し出すことに心地良さを感じているBさん、丁度、いつもの大好きなオセロの真っ最中。促されても、さっぱりしたもの、この言い切りは、少々苦笑いを誘ったが、この場面も先生にとって、一安心、ふた安心の出会いになったことであろうと感じた。

 卒業の折り、「私は4月から青い鳥に行きます」と期待と希望をみんなの前で述べたBさん、そのままの態度であった。自分の思いを言葉にできる姿は、安心できる過ごしを背景にしている。気を使って萎縮することもなく、何を言っても、何をしても受け止めてもらえる暮らしがあるからこそ、と解釈できる姿である。苦笑いの中に安ど感を得た「ありません!」であった。

 

  • その人のタイプが表に出てくる

 3年間の高等部、当然、喜怒哀楽の波にもまれた時間経過であったろう。二人の再会の姿から想像できるのは、周りの人たちから安心感をもらってきたこと、人の広がりから生まれる希望を積んできたことだ。二人の再会の場面は、人にリードされる満足感を味わってきたタイプのAさん、人の広がりから次々と希望を広げていくタイプのBさん、タイプの違いはあるが、いずれも気持ちを大事にされてきたことを思わせる再会であった。

 

  • 関係論に立つ出会い

 私たちの支援の原則的立場は関係論である。自分一人では幸せになれない。人との関係の中に楽しさも辛さも生まれる。大事にされ、関心を注がれたら、心穏やかになる。逆に、相手にされず、冷たくされたら、心苦しくなり、どんどん萎縮する方向に転げ落ちる。それが人の心のあり様である。

 日常の些細な触れ合いの中に”関心を持つ”をにじませる。その関わりがその人のペースでちゃんと大人の歩みへと背中を押す力になっていることを改めて確認できた再会場面であった。