バード・ウォチング NO30 主体性の土壌について感じること

H30.4.2 理事 村瀬

 H30年度に入りました。年度末、恒例の「納めの会」を開きました。昨年度から始めた朝の体操の展開が少しづつ和やかな楽しいものになっていること、改めて感じました。

  • 納会‐体操ご披露から

 Aさんの表彰ご挨拶の中で母親から青い鳥での姿がご披露された。オリジナルな体操を楽しんでやっている、その姿を母親として安堵している旨。その折、傍らの彼が体操をやって見せるなど本人の満足感が伺え、体操プロが少しずつ成熟してきていることを感じた。

 さらに出し物披露では、声かけられながらも次々とメンバー入れ替わりで前に出て自分の持ち体操をやって見せる姿が続いた。一般の体操とはかけ離れている面もあり、なんだ?と思わされたりもしたが司会の解説を頼りに納得の展開になった。

  • 毎朝の体操がベースになって

 朝の体操は、家庭やGHから通所してきた仲間にとって「さあ、今日も一緒に楽しくやろう」とのきっかけづくりになっている。活動の準備運動的な面は副次的になっているが、曲がりなりにも皆さん立って体の部分部分を動かす10~15分ほど、結構な動きの量になってきた。

 いつの間にか、自分の体操の型が決まり、そろそろ自分の番かなと感じ、心の準備ができている。進行の促しに即応じて、「1,2,3・・・」の掛け声にみんなが唱和してくれて、体操の 中心に自分がいる。ワンポイントの自分の番が終わるとみんなの拍手で交代する。拍手が節目なのだ、おまけの体操もいいみたいだ、なかなか終わらなくてもみんなで付き合ってくれる。なんかうれしい。

 他愛もないことであっても、やれることがあって、仲間に期待されて、評価される、そんな日々の土壌は無言のうちに「あなたが大事」が注ぎ込まれる土壌になっている。

  • 経験に裏打ちされた主体性が持つエネルギー

 始めは「こうしてみたら…」と受動的であったが、経験に支えられてやり慣れて、受動的でありながら能動的な振舞いになっていく、受動的能動性と言われる姿になってきた。この能動性は、もう主体性そのもので「私がやる!」との意思の表れだ。そこに縁する「私」は心を動かされ、楽しそう、積極的だ、自分らしく振舞えている等々と感じる。そして私の心のありようは私の内に留まらない。価値あることは人に伝えたくなる、家族に、仲間に。こうして少なからず波紋が伝わっていく。

 受動から能動へと行動が変わて行いく過程を追ってきた、その変容に自分の心情を重ね合わせると行動の奥に潜む気持ちが感じ取れる。心情を解釈しようとする前に感じ取って即時的に反響する自分がいる。それこそ主体性のエネルギーの伝播力なのだろう。

  • 心情に着目すると対人関係の反映と感じ取れる

 この場の職員に支えられて、認められて、安心感を得ながら取り組んできた過程であろう。うれしいことと思えば、もっと応援したくなるのが人情である。それにつけても、より楽しく、より和やかに、より生活の張りになる展開に努力していただきたい。たかが朝体操、されど朝体操であり、一日のスタート起点の体操で一日の充実度合いが決まるのだと心してゆきたい。こうした解釈視点が支援のエッセンスを構成するのだろう。