バード・ウォッチングNO51 「感情的な関わりからの立ち直り」

R1.10.8 理事 村瀬

  • 避難所から安心の基地を目指して

 この1年半、活動の合間に私のところで過ごすことが多い青年がいる。狭い事業所のため休息や逃げ場がなく…、私の部屋が避難所として機能してきた。そして、この1年は、避難所の安心感から、さらにエネルギーを溜めて主体的に一歩踏み出る安心の基地への格上げを意図してきたところだ。

  • 天邪鬼的な言動に振り回されて

 避難所の安心感から天邪鬼的な言動が広がりつつあり、試行錯誤してきた。特に個別的に接することの多い食事への移動で誘発する傾向にある。食事⇒歯磨き⇒散歩⇒午後日課の展開となるのだが・・・。午前活動から戻り、少しの間合い共に過ごし、さて食事へと誘う。食事の確認をして一緒に部屋を出るとすぐに「後で食べようかな」と、受け入れている安心感を前提に「試し」が出ているように感じる。また「いらない、食べない」と、天邪鬼的な言動が多くなる。これはもっと分かって欲しい願望が背景にあると考えている。だから本人は「次は何か」よく分かっているし、「本心ではない」のだが、こんな言葉が繰り返されてしまう。

  • 繰り返されることで感情的になる

 この道45年、70才を超えても不徳の致すところで、心情が揺れ動き感情に支配されてしまう。〈いい加減にしてよ〉と苛立ちに近い感情が呼び出されてしまう。意地悪的な対応に陥る。たとえば、言葉尻で対応してしまい、「後で食べる」に“先きに食べるね”と。「嫌い、食べない」に“食べなくてもいいよ”といわば“見捨てる”対応で追い詰めてしまった。良い循環にならないに気づきながら感情に支配されるお粗末さであった。

  • ダメな自分を感じながら原則を確認し立ち直る

 今テーマにしていることは何か、「何のため」の個別の関わりか、これでは思うようにいかない、と分かりながら切り替えははかどらない。理性と感情にせめぎ合いが起きているのだろうと思いつつ、自分の面倒くさい面を〈困ったことだ〉と感じながらの時間経過でもあった。ともかく「安心の基地への格上げ」が狙いどころ、また、今「ある」姿を認めることで、次の姿に「なる」エネルギーが生まれる、との支援の原則「ある」から「なる」へを自らに言い聞かせていた。
 “試し”も“願望”も対人関係的に目的があり、現在は不適切な行動で目的を達せしようとしている。この不適切さが私の感情を逆なでするように関係がぎこちなくなっている。こうした受けとめ方に立つことで適切な行動に着目して、「ありがとう」「いいね」「できました」「賛成」「一緒に」等のプラスの言葉かけを多くして彼の存在をしっかり受け止めることができるはずだ、と肝に銘じた。
 自己正当化しないこと、「何のため」の仕事かに立ち返ること、遠回りになってしまったが、この自己葛藤が自らを高める原点と承知して取り組んでいこう。