バード・ウォチングNO40 自分が大事、職員が大事」を優先するなんて…….

H30.11.20 SV村瀬節子

  • 「やめたところに戻るのはおかしい」と思うAさん

2年間、他の日中活動を利用していたAさんが9月からあおいとり日野を再利用することになりました。通えなくなった3か月ほど、話し合いを重ね、自分から「もどる」と決めたのだが、再スタート1か月余りは、「やっぱり、あおいとりはイヤ、行きたくない!」と折々に愚痴っぽくなっていました。

グループホームに戻ってからもあおいとりの仲間への批判が頻繁に出て、他の利用者との関係もぎくしゃくしたものでした。グループホームの雰囲気も険悪になり、世話人さんも手を焼く状態でした。その様子から日中と連携し、まずは世話人を支えることを積極的に進めなければと思うほどでした。

  • Aさんの気持ちを確かめるはずが….

そこで、相談室でAさんに寄り添う接点を見つけるための面談をしました。でも、私の気持ちの中に、「あおいとりには自分で行くと言ったのに、また行きたくないなんて、なぜ、……」「Aさんは身勝手、間違っている」とも思っていたのでしょう。

また、通所できなくなった3か月余の間、あれこれと労をいとわずに支えてくれた世話人さんのご苦労や心情にも思いがいっていたのでしょう。この時には、Aさんの揺れ動き、葛藤している気持には着目できず、目に余り言動に振り回されていたのでしょう。

この面談は、話し合って理解させることに力点が置かれてしまったのです。Aさんの立場になって、肯定的に話を聞く視点が欠落していたのです。ただただ「あんなに約束したのに、こんなにクルクル言うことが変わってしまうなんって…」とこの思いでいっぱいでした。案の定、私の姿勢はAさんを理屈で説得し、責めてしまっていました。どうしてこんな事態になったのか、「Aさんは、私が言うことなら聞いてくれる、分かってくれる」というおごりや傲慢さからでしょうか。自分を振り返るゆとりがなかったようです。

  • Aさんの気持ちに寄り添うこと

私の口調の強さが漏れ聞こえたようで、理事が「ちょっといいですか」と加わって下さいました。まず、開口一番「あなたの笑顔はいいですね」すると、Aさんの表情が和らぎました。次に「あなたは、とてもやさしい人だと思っているんですよ」と、またAさんはにっこり笑顔に。そして、「いろいろ大変でしたね。よく頑張っていますね。今、何が一番大変ですか?」と問いかけられました。

そこで、Aさんの気持ちは少しずつほぐれたようで、「あおいとりは、うるさい、やかましい」と朝の場面や昼休み、帰りの場面等が気になっている様で素直な口調で伝えてくれました。「大変なことがあるのに頑張っているね。応援しますね」「職員と相談して金曜日までに、どう応援するかは伝えるね」と具体的に本人が不快と感じている場面の過ごし方を金曜日までに考えて、伝えることを約束し、終わりました。

  • 《あなたが大事》が支援の基本

このやり取りを聞いていて、ようやく私は、自己肯定感の少ないAさんに、あるべき論で追い込んでしまったことに気付かされました。私の姿勢が、より頑なに、そして、素直になれず反発するしかない情況を作っていたのだということに。

反対に、理事のやり取りはとてもシンプルで、ただただ肯定的に、認める、大変さを共感する等など《あなたが大事》のメッセージでした。このメッセージをたくさんもらって元気になっていくAさんでした。この姿を目のあたりにして自分の未熟さとともに失礼な事態に陥らないことを強く反省しました。