バードウォチング No69 エピソードをまとめて

R2.11.26

あおいとり日野

主任 土屋 紗織

 年5回の家族会、その折に日々の出会いをエピソード集としてまとめてきました。特に今年度はコロナ禍で皆さんが集まれず、エピソードを通してご家族の皆さんに安心感を得ていただきました。現場を担う立場からエピソードへの思いを整理してみました。

 

*エピソードを通して思うこと

 青い鳥でのエピソード記録が始まって約2年。利用者の皆さんと過ごす日々の中で、具体的なやり取りに焦点を当てた記録がエピソードとなっています。

エピソードを書いていると、『以前も同じようなエピソードを書いたのでは』そのような思いで振り返ってみると、やはり似た内容を書いていることがありました。確かにその方へ着目している部分は一緒なのですが、半年、1年と経つうちに、その方の心情をどう受け止めているのか、気づきの視点、解釈の仕方で小さな発見や小さなふくらみが感じられます。私自身が変わってきているのです。またその時の利用者、職員の心情により同じ場面の事柄でも新たな展開になることがあります。それは私の捉え方が変わってきているということと、プラスして利用者の皆さんも私たちへ見せる姿に変化があるのだと思います。

Aさんと私との関係が少し変わってきて、やりとりもより和やかになる節目を作ってゆくようです。エピソードは単なる記録ではなく、こんな歩みをしてきたとその方の生きる姿を残すものになると感じています。そして私たち職員にとって自分の支援を振り返る良い機会となっています。

 

<皆さんのエピソードを読んで>

それぞれのエピソードを読ませて頂きました。クスッと微笑ましいエピソードもあれば、「そうなんだ」と関心させられるものなどなど利用者の新たな一面を捉える事ができました。職員の視点の軸としてあおいとりが大事にしている“あいうえお”の実践がエピソードを生んでいるのかもしれません。それと同時に支援の質が常に問われる仕事だと改めて感じました。

一時期流行しましたが、アナと雪の女王の一節が思い出されます。

“ありのままの姿見せるの、ありのままの自分になるの”

ありのままの姿=わがままな姿ではなく、その人らしさなのだと思っています。私たちの常識を押しつけては窮屈になってしまい悪循環です。“こうあるべき”という固定された見方をリセットしなければ、利用者の心情の見えるものが見えなくなってしまうのかもしれません。私自身も表面的な行動に捉われてしまいがちですが、その行動の背景にある「だって…」「なに?これ?」「苦手だな…」等の思いに気づく努力をしています。その行動にはどんなメッセージがあるのか、こういう見方も良い、もしかしてこういう意味なのかもしれない、とりあえず受け止めようとそんな気持ちが湧いてきます。一呼吸おく関係こそが、安心感、構えないでいられること、素直さの土壌づくりとなると感じています。