バードウォッチングNo.72  「GHの暮らし―朝の動きはこうだよ―」

R3/7/27

グループホーム青い鳥

所長 井上

 

 生活介護を利用している方々のGH―管理者として毎日顔を出しているものの、細かな個々の生活のすすめ方は現場に託しています。ところが、急遽朝番のヘルプに入らなくてはならず、さくらに行った時のことです。

入室早々「あ、井上さんだ!」と笑顔で挨拶してくれたことに救われつつ、あまり流れを把握していないため不安感が漂います。壁に張ってある流れのマニュアルを頼りに進めていきますが、それでも細かいところまではわからず戸惑うのです。

さくらのメンバーは思案している私の姿を見て、「ひげ剃ったよ!」「歯ブラシも終わった」「ご飯の時のお茶は紅茶ね」「僕はコーヒー。砂糖とミルク少し入れて」「薬はここ」「薬は飲んだらこっち」とあれやこれやときちんと伝えてくれました。皆さん一通り朝の動きが終わるとタブレットを見たり、TVを見たり、雑誌を広げたりして思い思いの過ごしで日中活動の送迎を待っていました。

 それぞれ自分に必要なことだけではなく、周りの仲間のことまで気にかけ教えてくれます。それはしばらくぶりに現場に入る私の気持ちを察して下さっていることもあります。個人生活とはいえ、ゆるやかな小グループ生活ですからおのずと制約も、お互いの遠慮や配慮も生まれるのでしょう。それが生きづらさと社会性の土壌とのバランスを常々に考慮しながらの展開が求められることも改めて感じました。皆さんの中にGHでの共同生活数年分の経験が活きていました。皆さんよく見ているし、また、仲間との生活ですから職員の手が空くのを待ちあるいは、「次に行くね」―Aさんのことが終わったら僕のところに来てくれること―をよく理解してくれています。積極的に手伝ってくれる方、マイペースに待ってくれる方がいて、和やかでゆるやかな暮らしぶりなのだなぁと改めて実感しました。

この先、完全に親御さんの元から離れる際はまた一つ壁を乗り越えなくてはならないかもしれませんが、仲間とのこのような生活ならば次のエネルギーになるはずと思ったところです。