バードウォッチング No.109 でこぼこみち⑤

笠原 駒子

☆四月の青空と散る桜に迎えられて

 2か月くらいの入院になるかもしれないと言われていましたが、息子はすくすくと成長してくれて、出産から1か月と数日で退院することができました。様々な検査の結果も、退院時点では異常なし。生まれて1か月、息子は、初めて病院の外に出ることができました。桜が散り終わるころの退院でした。病院からタクシーで自宅に戻るその車中で、初めての空と散っていく桜を見つめる(見ていたのかどうかわかりませんが)息子の写真が、残っています。

☆32週での緊急入院でしたから・・・

 家族3人での生活がスタートしました。産後、息子がいなくても、3時間ごとに起きて搾乳していたし(未熟児は乳幼児突然死症候群の確率が高いそうで、母乳で育てることでその確率を幾分減らせるから、母乳がしっかり出るよう頑張って、と病院から言われていました)、まだ産休育休前の引継ぎが完了していなかった当時の勤め先の引継ぎや、未熟児養育医療費給付の申請や(入院費用数百万円を、この制度のおかげでほぼ払わずに済みました。この制度がなかったらどうなっていたことか。ほんとうにありがたく思いました)、産休に入ってから買おうと呑気に思っていて全くしていなかった赤ちゃんを迎えるために必要な物(ベッド、布団、衣類、ベビーバス、その他いろいろ、何も準備できていませんでした)の購入などで毎日バタバタしていたので、ようやく落ち着いて赤ちゃんと生活できるなぁ、と思っていたのですが、そんなのは甘すぎる考えでした。

☆抱っこ要求に付き合ってつきあって、大変な幸せでした

 授乳中は泣き止んでいるけれど、母乳を飲み終えてベッドに寝かせようとすると「ひどいことされた~~~!!」とでも言うように、ものすごい声で泣く。せめて座りたい…と思って抱っこしたまま座るとそれだけで泣く(立って抱っこしていないと泣く子でした)。授乳間隔は1時間。私がトイレに行くためにベッドに寝かせただけで「虐待された~~~!!」とでも言うように泣くので、息子を抱っこしてトイレに行っていました。

 実家の母が手伝いに来てくれる予定だったのですが持病で体調を崩してしまい、また、育休中はなるべく夫に頼らず頑張ろうと思っていたので(夫に、仕事と勉強に集中してもらえるようにしたい、と思っていました)、

これは、苦行だ…(笑)

と、ぼさぼさの髪で、ボロボロのすっぴん顔で、育児って大変…と思いながら、でもとても幸せでした。今思うとよくあんな生活ができたものだと思うのですが、そのときは赤ちゃんのかわいさと、初めての育児の楽しさと、息子が健康であることへの感謝とで、それほどつらいとは思いませんでした(産後半年で仕事復帰するのですが、育児がほんっとうにつらいと思ったのは、それからです)。

★ここまで想定外のこと、人生初めてのこと、自分で選択する余地のないこと、速やかな医療判断の下で・・・。さて、ここでようやく自分らしく呼吸を整えてと思っても、抱っこ要求の強さに翻弄される。「でもとても幸せ」と母親の強さが出てきていることを素直に安堵した。

 男親ではとても担えそうもないなぁ、と感じつつ。さてさて、次があるのだ、これからが育児の “ほんっとう” の辛さとは・・・? 産前後の経過は百人百様とのこと。子育ても多様で、人と比べることではないと言うものの、さて・・・。