バードウォッチング No.113 でこぼこみち⑨

笠原 駒子

☆元夫のでこぼこ

 元夫のことを、出会ったときから、ちょっと変わった人だなぁとは感じていました。変わり者だけど、好きなことにはびっくりするくらい熱中してすごい力を発揮する元夫のことが、私は好きでした。一緒にいることが大変と感じることは多々ありましたが、彼といることは、基本的には私はおもしろかったのです。ですが、子どもが生まれると、そうも言っていられなくなりました。

 小さな息子の突飛な行動、理由のよくわからない不機嫌、泣き、グズリ。やれやれと思い、時にはいい加減にしてくれ~(泣)と言いたくなりつつも、大人ならば、基本的には「かわいい、ほほえましい」と感じられる小さな子供のすることのいちいちが、元夫には、理解不能な、自分のことを不安にさせる、耐えがたいストレスを感じるものだったようです。

☆育児は身の回りの世話だけではないから

 息子が生まれる前、道端で小さな子を見かけると、かわいいねと目を細めて見つめる人でした。子どもが嫌いな人ではありません。しかし、実際に自分が親となり、大人の常識や理屈が簡単には通じない小さな子を自分自身で世話することになると、彼はその難しさに、しょっちゅうパニックを起こしました。息子にも元夫にもつらい時間となってしまうことが多いので、できるだけ2人きりで過ごす時間を少なくできるようにしたいと思っていましたが(私がそう思って努力をしていたこと、元夫には伝わっていなかったかもしれませんが)ゼロにはできず…。

☆被害者に陥ってしまう辛さ

 2人きりで留守番をさせ、私が帰宅すると、息子のわがままに耐えきれなくなった元夫が壁をたたき壁に穴が開いている。少しだけでいいからゆっくり眠りたいと思い2人で散歩に行ってもらうと(まだ抱っこひもを使っていたころです)、知らないおばさんたちが俺のことを見てヒソヒソ悪口を言っていた!と怒り狂って帰ってくる(パパと赤ちゃんのほほえましい光景と思って見ていただけだよ、きっと。と言いましたが、実際には、息子が泣くか何かしてパニックになった元夫におばさんたちがびっくりしていた、とかだったかもしれません)。風邪をひいた息子を、どうしてもしなければならない仕事があって元夫に任せて仕事に行くと、

 「離乳食を食べない! 息子が俺に嫌がらせをしている! いじめだ!」

 と言って電話をかけてくる…。

 そんなことばかりでした。

★自閉系の障害は相手の気持ちを受け止めきれず、行動の是非に振り回されてしまう。他方、幼児期は快不快を自分の感性で率直に表現するものだから、デリケートな不快の意図を見分けることが難しく、不可解な事態に自分が追い詰められてしまうのでしょう。元夫の彼には、手の施しようがなくパニックって衝動的に自爆するしか方法がなくなってしまったようです。

 幼児期は、グズリという未熟な表現であれこれ訴えるものですから、気持がうまくつかみきれず「わかった、わかった!」と抱っこしながら身体揺らして感覚的刺激で紛らわすなど、間々見られることです。育児は理解でこなすものではなく、感じ取るままに手をかける直感的なセンスが求められます。自閉系の障害を持つ彼には難しいことなのでしょう。