バード・ウォチング NO45 日々のやり取りに支えられて

H31.3.6 理事 村瀬精二

生活介護担当 土屋紗織

 いろいろ悩ましい事柄を抱えているAさん、仲間との関係も被害者意識が頭をかすめてしまい「なぜ?私がいけないの?」とぶつけてくる。受け止めていくことで気持ちが整理され、立ち直っていく。よく頑張っている姿、律しようと努力している姿が伺える。しかし、程なくして、別の不安材料に出会ってしまう、そんな繰り返しである。

  • そんな折のエピソード「気持ちの切り替えは一笑から」が生まれた

 折々に相談があると理事室にやってくる。「あのねぇ…」と話してくるが、本当はちょっと息抜きや甘えたいなどの気持ちの張りが緩んでいる時の様だ。

 そんな思いを承知で、彼女のお洋服のこと、また私事の失敗談や日々の行き違いや夫婦喧嘩のことをいつも話題にする。「仲がいいから喧嘩するんだから」と慰めてくれたり、ほんのわずかな時間だが、納得するようにして「また来るね」と自分から立ち上がる。

 話を聞いてくれる人がいることの大事さだ。他愛ものないこと、お茶を出すこともなく、一笑して、ふた笑いすることが効くのだろう。

 自分一人で気合を入れて立ち直るのは大変だ。そんな時、相談するわけでもなく、ちょっとおしゃべりをして吐き出したりする機会が欲しい。頑張れと背中を押されるわけでもなく、私のことを「お祖父ちゃんだね」と戯言を言いながら二人でお茶を飲むつもりになれたら、それで十分のだから。(村瀬)

  • このエピソードが書かれて旬日「仲間の行動に救われて」のエピソードが生まれた

 Aさんと朝の登所時の挨拶を交わした時から、ジーっと目を見てきて何か訴えてきている表情でした。それとなく更衣室で話す時間をとると、朝仲間とトラブルがあったとのこと、「嫌いって言われたの」「どうして言われないといけないの?」と思い出してしょげ顔になった。ここで「気にしなくても大丈夫」と言ったら《私の気持ちわかってくれない》と感じてしまうので、まずは「そうだね、辛いね」と共感のコトバを繰り返し、受け止めることに努めました。

 そこに着がえに来たBさん、お茶目で場を和ませてくれるBさんはAさんと席が隣同士。着がえが進むと、お尻をフリフリ踊り始めた。そんな様子を見て「ふっふっふ」と笑い出したAさん。すると先ほどまでの暗い表情が段々と和らいできたのです。こんな風に笑わせてくれる人がそばにいるなんて幸せな事だよね、と話していくうちに気持ちがち立ち直ってきました。

 何気ない仲間の言動に助けられたのです。悩みは職員に話を聞いてもらうことですっきりすることもあれば、仲間のちょっとした言動に助けられたり、一人ではなく皆があなたのことを支えてくれるということを感じもらうことも大切です。きっといつの日にかAさんが仲間を助ける役回りをとってくれることでしょう。(土屋)

  • 青い鳥の仲間づくり

 GHも日中でも、先輩も仲間も、いつの間にか身近にいる皆がAさんの気持ちを何となく感じとって気にかけている。意図的に関わってくれたり、何気ない素朴な配慮が自然にできたり、単に場を共有するだけではなく、知り合いではなく、仲間なのですね。人の思いが周りに伝染して、周りも思いを寄せてくれる。そんな青い鳥にしたい、と改めて感じている。