バード・ウォチングNO49 「彼らの人生に携わる者として」

R1.8.6  理事 村瀬

  • GH利用の再挑戦に向けて

 40代のAさん、かつてGHを利用されていたが、不安緊張が強く、体調の不良も重なってうまく適応できず、中断することになった経緯がある。

誰しもが年齢とともに親亡き後を現実的に考える時期を迎える。お元気なご両親を得て、もう少し先とはいえ、再度チャレンジする土台を作る方向で動き出すことになった。顔なじみのGHを利用できるほど数が整っているわけではない。そこで、いつもと違う人と、いつもと違う動きで、いつもの仲間がいない中で外出することを通じて、付き合い方のコツを整理し、GHのショートステイにつなげ、さらにGH生活の下地になる場慣れを踏んでいければと考えている。

プログラムは、SS利用の‟GHを訪問し、見学とお茶をいただく“を軸に組み立てることにした。場を踏んでお茶が昼食に、夕食に、入浴にと広がっていけば、とも思ったり・・・。こんな思いを親御さんと共有して始まりました。

  • 緊張感がセルフコントロールを高めるが・・・

 この暑さと初回である点を配慮して3時迎え、6時帰宅の予定にした。普段は、すぐにおふざけが高じて切り替えが付きにくくなる程であるが、ポーカーフェイスで緊張されていることを感じる。数年ぶりのバス、電車とのことだが落ち着いて、改札での切符の扱いもスムースで通過すると、”預かって“と自分から切符を手渡してくる。GHにお邪魔して顔見知りの世話人に出会うと表情が出て、いつもの彼らしさを感じた。車内も、スーパー内の買い物も、イートインのお茶も淡々と過ごせた。

 穏やかに過ごせたのだが、これは大変だな、とも感じた。緊張感は疲れと直結する、疲れたらコントルールが出来なくなる、弁えの定着とは違うものだから。こうした彼の受け止め方を含めて付き合い方を整理することになろう。

  • 知り合いのおじさんと出かけることの意味

 さて、今日の外出を数日前から楽しみにしてくれていた由。この思いが折り合うベースになって落ち着いて過ごせるのだろう。折々の出会いの顔見知り程度のおじさんと二人での外出も社会的な自立の姿といえる。GHの玄関で「こんにちは」とインターホンへの呼びかけも、イートインで食べ終わるとサッとゴミ箱への片付けも、社会経験のなせること。40代の落ち着きだし、しっかり歩んできたものを身に着けてきた姿だ、とも感じ感心させられた。

 その上で、GHの生活をどう描いていくか、が始まったのだ。仲間との暮らしもいいものだと感じられる土壌を作ってゆきたい。