バードウォチングNO82 親なき後GH・あんずの暮らしぶり

2023.2.13
理事 村瀬

 GHあんずで7名の方が暮らしている。日々の暮らしをご紹介することで、先々の暮らしぶりのイメージを描く機会として、また職員としての励みとしたい。

●二つのグループ

 あんずの朝は早い。6時過ぎに朝食の4人、なんとか朝食の場に顔を出したいと6:30にお邪魔している。ゆっくり組の3人は7時過ぎに起きてくる。

 ところが年明け、まだ夜明け前の暗さが残るが6時組に2人が加わり6名で和やかに朝食のテーブルを囲むことが多くなってきた。一方、私の訪問は西平GHの介護的なフォローのため7時前にあんずを後にする状況が続いている。

 こうした状況でⅯさんとの接点は洗顔中の「おはよう」の挨拶程度になり、少し心理的な距離が気になり始めると、たちまち現実的になった。起き出しているがドア越しの声かけ「おはよう。ごめんねぇ、先に出かけるよ」に、かつての「着替えてるから」とお断りメッセージもなく、無視を決め込まれた。

●夜も来るよ

 人恋しくて、人淋しくて、気にかけてくれる人がいると何となくうれしい。そんな心情は「みんなおなじ」はず。そこで洗顔中に「もう出かけるから、夜また来るね」と伝えると「7時までは夕食だから…」すぐに時間の注文を付けてくる。それも素直な笑顔である。〈待っていたんだなぁ〉と思わせる表情である。

 ところで、日中に上田事業所で出会うと「みんなが誰と話すのかなぁって言ってたけど・・・」とこれまた和やかな感じで声をかけてきた。「私とだよね、あと誰?」というニュアンスが感じられた。「コロナの時のように、みんな一緒もいいね」と、みんなを巻き込み仲間との距離を埋めることが再現できるかもと思いつつ「少し早めに行くね」と。〈毎朝顔を出しているのに、私とは…〉とすねる気持ちが和らいだ感触を受けた。

●さて、夜の訪問

 6:30過ぎ、夕食中の訪問になった。天気予報で「明日の東京は警報級の雪」に「早帰りになるかも」「雪だからお休みする」「雪だるまが降ってくる」あれこれ話が膨らんで・・・。

 下膳、片付け手伝いなど役割をしつつ・・・。談話コーナーで、いつものように逝かれたご両親の話を導入に。その輪を覗いてくれる方も巻き込んで「お父さんはタバコ吸ってた?」「お母さんは何歳で亡くなったの?」「お母さんの料理でおいしいものは?」「お父さんはビール飲んだ?お母さんは?」「こんな風に話しているとお父さんもお母さんも喜んでいるよ」「一緒だから淋しくないって・・・」こんなやり取りが続く。

●そうこうしていると思いやりが・・・

 あれこれ話しているとMさんが「夕食は?」と気にかけてくれる、意外と気づく人。今日は何にしようかと話しているところに、家から電話。みんなで次々に電話越しに話しかけて、一番元気なのは思いのほかKさん。電話を介して夕飯の話が広がり、「待っているって」と話しを閉めてくれるYさん。5人の参会者が皆さん立ち上がってご挨拶、なんだかおしゃべりが楽しかったし、みんなで元気になった感じで終えられた。仲間に入れてよかったと感じているMさんは小さく手を振ってくれた。