バードウォチングNO83 生活支援におけるエピソードの位置づけ

2023.3.26
理事 村瀬

 青い鳥では、利用者エピソードのまとめを継続しています。エピソードは生活支援のいわば「目に見える成果」として、「こんな暮らしを提供しています」と関係者にお伝えしているものです。改めて「エピソード」の位置づけを考えてみました。

1,    「あいうえお」の実践

 「あいうえお」の実践とは〈あいさつ、いたわり、うなずき、えがお、おうえん〉であり、関わりの原則として誰もがいつでもされてきたことであり、してきたことでもあるから初心者から実践につなげられる視点です。一方で、奥行きの深いことでもあり適宜適切に展開するために自らの感性を磨き、利用者の心情を読み解く努力が求められる次元も含みます。

 この個別的な実践の過程でエピソードが生まれる、感度よく掬い上げて継続フォローすることで支援の手応えにつながる、と言えます。

2,    エピソードのまとめ

 関わりの中に生まれたエピソードをまとめることは、「こんな暮らしを提供している」ことであり社会的な実践評価を受ける対象です。いわば「目に見える成果」として、実践記録として生活支援の向上に資するものです。

 また本人とっては自分史の一こまであり、ご家族にとっても共に歩んだ証とも言えます。さらに支援員にとっては、個々のエピソードが実践的な支援のテキストになり、支援まとめの側面を持ち、利用者個々の全体像把握の手がかりになっています。

3,    意図的な実践につなげる

 さて、生活支援は個別支援計画に基づく実践であり、意図した目標を掲げていることを承知する。それは全体像の把握のもとに、こうあって欲しいと描く、こう具体的に配慮する、こう継続的な工夫をする、こう支える努力をする等を下地にしているものです。

 「あいうえお」の実践、エピソードまとめ、全体像の把握、個別支援計画の立案、これらがリンクして生活支援が成り立っています。

4,    生身の人と人との出会いの現実から

 実践は思い通り展開することはなく、修正しつつ目的に向かっていくものです。一方、思わぬことから、思わぬ方向から、思わぬ歩みをしていくことも生まれてきます。日々の出会いのやり取りから芽生えを掬い上げていくことも大事な実践になります。