バードウォチングNO81 作品化を素材に連携する

2023.2.13
理事 村瀬

 法人運営のあり方を模索してきた。NO79号でも取り上げたが、特に親の会との連携が必須と考えている。親子の絆は人の歩みの土壌だから「利用者の豊かな暮らしの実現」に欠かせない相方である。

昨年の日野市・生活介護事業所「はくちょう」の作品展の折、関係者から「一緒にやりましょう」とお誘いを受け、考えてきた。

●利用者の暮らしの柱にあるものは・・・

 1週間単位で活動予定が組まれ、見通しの立つ日々の提供が穏やかな心情の土壌である。作業にとどまらず余暇も自由時間も積極的に組み込んでいる。この中には専門講師の斬新な企画や職員の手土産的な企画もあり、変化があって楽しみだ。

 これらがやり過ごす一日に終わっていないか、やりっ放しになっていないか、本人たちの達成感につながっているか。一方、体制的なゆとりがあるわけではない、応援体制も貧弱な中で何ができるか、どういうことなら継続できるか、現実的な模索をしてきた。

●青い鳥にできる作品展は

 利用者の絵で作ったプチ袋を孫のお年玉袋として利用したら、「これも袋にして」と自分の絵を持ってきた。この関心に触発されて、デザインとして茶菓子の盛り皿・ペーパーナプキンとして生かせるかも・・・。

 早速に親の会で提供すると、いつもの絵をナプキンとして見直す“おもしろさ”に気づかれた節が見えた。さらに2000枚くらいナプキンを展示したら見え方が変わってくる、見られ方が変わってくるだろう。

●作品展のもう一つの意味

 前職の「僕にもできる展」は1年の大きな節目として、たくさんの家族・ボラさんのご協力を得て進めてきた。関係者には「今年もできた」という充実感がエネルギーになりコツコツと地道な実践を支えていたことを思い出す。大変さは大変さで終わらないものである。この充実感は笑顔を引き出す自己満足感と共に、社会的な評価から責任を果たした達成感であり、頑張れる自分になったこと、自分の中の新たな芽に気づかされる機会でもあり…、そうした余韻が社会人として、大人としての自覚に、さらに個人的にも亡き両親への感謝の気持ちにつながっているように感じている。

●作品化が人を育てる刺激となっている

 日々の創作活動を作品化して節目にする。それを利用者の達成感、家族の〈持ち味の再発見〉、職員の“これでいい”との手応えにつなげる。職員の作品化への頑張りが利用者の「僕にもできる」肯定感に、さらに家族の我が子の見直しにつながる。結果的に、親の姿勢が職員を育てることに連動していく。うれしい連携を描いている。