バードウォチング No.90 青い鳥の目標

2023.5
理事 村瀬

 岩崎夏海氏2009の「もしドラ」として流行った「・・・マネジメントを読んだら」を再読した。面白かった。かつてお世話になった世田谷樫の木会・鈴木元理事長がドラッカーに原点を持った組織論を語っていたことを改めて思い出した。触発されたことを簡潔に整理し青い鳥としても組織目標になじませてまとめてみる。

●マネジメントの3要素―顧客、真摯さ、マーケッティング

 「顧客」という表現が福祉法人にそぐわない感じがしたが、何はともあれ組織にとって、その顧客なくしては成り立たない存在を指すことが物語られ、受け入れた。

 さらに顧客には、生産的な仕事を通じて成果を実感させること。その成果という働き甲斐を与えるには、仕事そのものに責任を持たせなければならない。さらに、組織を機能させるためには「マーケティング」が重要な仕事の一つであると言う。

 法人では、面談・研修を通じてそれぞれの職員の就労の初心である「何とか役に立ちたい」を思い起こす機会を作っている。キャリアに応じた一面を開拓し働きがいにつなげたいと思う。

 また生活支援は人間関係で成り立つ領域であるから、「私の関わり」の着目点は「相手の気持ち」である。関係で利用者の暮らしを支える仕事であるため真摯さが欠かせないと考えている。

●青い鳥の「顧客」は誰か

 「人は最大の資産」と語られている。資産とは、人を生かし人の強みを発揮させることである。人の役に立ち、自分の充足感につなげること、この手応えの循環が組織の目標になる、という。

 法人の顧客・目的は3つに整理できる。1つは「利用者家族満足」になる。2つは「職員満足」である。3つは「地域社会満足」と言える。「利用者家族満足」は、そのために生み出された組織として当然のことである。

 次の「職員満足」は、この仕事で生活を維持している職員にとって働きやすい職場としての満足もあるが・・・。実は職員満足は、待遇の問題ではなく、生活支援を通じて得られるものだと強調したい。生活支援の手ごたえは、この人はこういう人なんだ、こういうところを大事にして付き合えば暮らしやすくなるのだ、と相手のことを考える視点を深め、人間関係を築くことで得られるものである。生活支援の醍醐味は、大変さと共に自分が育てられる実感を得るところにある。

 いつの間にか人の役に立つことを大事にする自分になっている。自分がそんな風に育てられていく、やりがいを感じる、少し分かるようになってきた、気持ちを大事にできるようになってきたと感じる、ここに職員満足があるという受けとめ方である。

 そこで利用者家族満足と職員満足とが重なってくる。ぜひ資産としての力を発揮して福祉を進め、「地域社会満足」につながるような共に生きる社会を実現してゆきたい。