R2/9/11
グループホーム青い鳥 所長 井上
「待っていますよ~」
上田に用事があってお邪魔した時のことです。木曜日はパン販売の日。パンと焼き菓子で番重二つ分の商品が並びます。まだ商品が並ばないうちに地域の常連の方が買い物に来てくれました。販売の当番は河合さんのようです。あれこれ販売の準備をしているときにお客さんから「Aさ~ん、お盆(トレー)を待っていますよ~。頂戴ね~」と。常連さんなので勝手をご承知のようで、ゆったり動くAさんを待っていて下さいます。声を掛けられ照れ笑いをしつつ嬉しそうにトレーを渡すことができ、お買い物をしていただけました。
あまり売れる場所ではないのですが、地域の人は期待して下さり、しかもメンバーに会いに来てくれるようなお言葉をかけてくださいます。Aさんは、そんなお客さんの期待の声掛けで「私のお当番」との気持ちを引き出してもらい、一つひとつ常連さんのリードに導かれるようにして、笑顔で対応していました。パン販売を通して、地域の中に障害のある人が根付いている・受け入れられているという手応えを感じたやり取りでした。ご本人にとっては、“いつもの方が私のことを気にかけてくれて嬉しい”、“いつもの方にパンを買っていただいて嬉しい”、“気恥ずかしさを感じながらもいつもの人に応えられる自分が晴れがましい”、そんな社会参加の喜びを感じるやり取りなのでしょう。地域の人たちに支えられている彼女、また、彼女の存在と彼女とのやり取りがこの常連さんの潤いにもなっているのでしょう。人との出会いはいつも気持ちのやり取りにたって成り立つものだから、そんなことを感じました。